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最高裁判所第二小法廷 昭和41年(オ)483号 判決 1966年7月01日

上告人

小泉竹次郎

右訴訟代理人

莇立明

被上告人

上村里

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人莇立明の上告理由第一点ないし第三点について。

所論中には、原判決に憲法一一条、一四条に違反する旨の主張もあるが、これは違憲に名をかりて、その実質は、原判決に法令違背のあることをいうにすぎない。そして、本件賃貸借契約中の賃借人のする転賃等については賃貸人の書面による承諾を要する旨の特約が、継続的な賃貸借契約関係において賃貸人の承諾の有無についての法律関係を明確にし将来の紛争を避けんとするにあり、したがつて、このような合理的な目的をもつてされた法律行為の方式の制限についての合意は、有効であるとする旨の原判決の判断は、当審も正当としてこれを支持することができる。

原判決には、所論のような違法はない。

なお、所論中には、前記特約が民訴法一八五条に違反する証拠契約に属する旨の主張もあるが、原判決の判示は、右の特約が実体法上の契約として有効である旨を説示しているにすぎず、右部分の論旨は、前提を欠き、失当である。

原判決には、所論のような違法はなく、所論は、採用しがたい。

よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。(奥野健一 草鹿浅之介 城戸芳彦 石田和外 色川幸太郎)

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